戦国武将
人物 家紋 紋名 コメント
明智光秀 桔梗 桔梗 「心知らぬ人は何とも言わば言へ 身をも惜しまじ名をも惜しまじ」
「順逆無二門 大道心源徹 五十五年夢 覚来帰一元」
浅井長政 三盛亀甲花菱 三盛亀甲花菱 「けふもまた 尋ね入りなむ 山里の 花に一夜の 宿はなくとも」
朝倉義景 三つ盛木瓜 三つ盛木瓜 「七顛八倒 四十年中 無他無自 四大本空」
朝倉宗滴 三つ盛木瓜 三つ盛木瓜 「巧者の大将と申すは、一度大事の後れに合ひたるを申すべく候」
井伊直政 丸に橘 丸に橘 「生死の事大 無常は迅速なり」
上杉謙信 上杉笹 上杉笹 「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」
「極楽も地獄もさきは有明の 月ぞ心にかかる雲なき」
「嬉しやと 二度さめて 一眠り うき世の夢は 暁の空」
稲葉良通 隅切角に三の字 隅切角に三の字 「いくたびか、かく住みすてていてつらん
 さだめなき世の篠のかりいほ」
今川義元 二引両 二引両 「心をば紅葉に染めて榊葉の 常盤の色を契ともかな」
大内義隆 大内菱 大内菱 「さかならぬ君のうき名を留めおき 世にうらめしき春のうら波」
太田道灌 太田桔梗 太田桔梗 「驕らざる者もまた久しからず」
織田信長 織田瓜 織田瓜 「人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻の如くなり。
 一度生を享け 滅せぬもののあるべきか。」
「仕事は自分で探して、創り出すものだ。与えられた仕事だけをやるのは、雑兵だ。」
織田信孝 織田瓜 織田瓜 「昔より主をば内海の野間なれば うらみを見よや羽柴筑前」
蒲生氏郷 蒲生対い鶴 蒲生対い鶴 「限りあれば吹かねど花は散るものを こころみじかき春の山風」
「知行と情けは車の両輪、鳥の翅のごとくに候」
吉川経家 丸に三つ引 丸に三つ引 「君が名を仇に無さじと思ふゆえ 末の世までと残しおくかな」
斎藤道三 二頭波 二頭波 「捨ててだにこの世のほかはなき物を
 いづくかつひのすみかなりけむ」
酒井忠次 丸に片喰 丸に片喰 「首を取ることなかれ、斬り捨てにせよ、
 白旗を挙げば軽く引きて、敵を追うことなかれ」
佐々成政 隅立四つ目 隅立四つ目 「この頃の 厄妄想を 入れ置きし 鉄鉢袋 今破るなり」
佐竹義宣 佐竹扇 佐竹扇 「今彼(三成)が危うきを見るに忍びず、
 身命を棄てて之を救ひたるのみ」
柴田勝家 丸に二つ雁金 丸に二つ雁金 「夏の夜の夢路はかなき跡の名を 雲居に上げよ山不如帰」
清水宗治 左三巴 左三巴 「浮世をば今こそ渡れ武士の 名をば高松の苔に残して」
高山右近 七つ星 七つ星 「禄は軽くとも苦しからず、耶蘇宗の一カ寺建立下さらば参るべし」
滝川一益 丸に立木瓜 丸に立木瓜 「我らが昼夜の心遣ひ察して見よ、汝らは鶴を羨まず、雀の楽しみを楽しみ候へ」
武田勝頼 武田菱 武田菱 「朧なる月もほのかにくもかすみ 晴れて行くへの西の山の端」
武田信玄 武田菱 武田菱 「大ていは 地に任せて 肌骨好し 紅粉を塗らず 自ら風流」
「人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり」
伊達政宗 仙台笹(竹に雀) 仙台笹(竹に雀) 「曇りなき心の月を先だてて 浮世の闇を照らしてぞ行く」
「馬上少年過 世平白髪多 残躯天所赦 不楽是如何」
豊臣秀吉 五三桐 五三桐 「露と散り雫と消ゆる世の中に 何と残れる心なるらん」
「露と落ち露と消えにし我身かな 浪速のことも夢のまた夢」
北条氏政 北条鱗 北条鱗 「吹きと吹く風な恨みそ花の春紅葉も残る秋あらばこそ」
「雨雲のおほへる月も胸の霧も払ひにけりな秋の夕風」
別所長治 左三巴 左三巴 「今はただ恨みもあらじもろびとの命にかはるわが身と思へば」
北条氏綱 北条鱗 北条鱗 「勝って兜の緒を締めよ」
北条氏康 北条鱗 北条鱗 「夏は来つ音に鳴く蝉の空衣 己己の身の上に着よ」
北条早雲 北条鱗 北条鱗 「武夫のためしに引ける梓弓 矢立ての杉やしるしなるらむ」
北条早雲 北条鱗 北条鱗 「武夫のためしに引ける梓弓 矢立ての杉やしるしなるらむ」
細川藤孝 九曜 九曜 「武士の知らぬは恥ぞ、馬、茶の湯、恥より外に恥はなきもの」
前田利家 梅鉢 梅鉢 「槍先でとりたる国は何事を せねどもしかと治まりぞする」
「僕、今嫡嗣と為るにより、諸君利久を謗(そし)り僕を美せらる。
僕何ぞ其阿順を喜ばんや」
三浦義同 丸に三つ引 丸に三つ引 「討つ者も討たれる者も土器(かわらけ)よ
 砕けて後はもとの塊(つちくれ)」
三好長慶 三階菱 三階菱 「薄(すすき)に交じる蘆(あし)の一むら古沼の
 浅き片より野となりて 」
最上義光 二引両 二引 「あはれあはれそのごとくにて、命のうちにいま一度
 最上の川路を踏み申したく候、水を一ぱい飲みたく候 」
山中鹿之介 橘 「願わくば われに七難八苦を、与え給へ」
関ヶ原の戦い(東軍)
人物 家紋 紋名 コメント
井伊直政 丸に橘 丸に橘 「捨てて苦しかるまじき敵と見ば、敵にてはあるまじと申すべし」
黒田孝高 黒田藤 黒田藤 「おもいおく言の葉なくてついに行く 道は迷わじなるにまかせて」
「分別過ぐれば 大事の合戦は成し難し」
加藤嘉明 下り藤 下り藤 「何程尊き器物なりとも、家人には替へがたし」
黒田長政 黒田藤 黒田藤 「このほどはうき世の旅にまよいきて いまこそかへれあんらくの空」
榊原康政 榊原源氏車 榊原源氏車 「大御所(家康)の御心中を知る者は、直政と我計りなり。
 両人がことも大御所よく御存知なれども、御口外に出し給はず」
真田信之 六文銭 六文銭 「西へちろり東へちろりあかつきの 明星の如き吾が身かな」
福島正則 福島沢潟 福島沢潟 「我は弓なり、乱世の用なり。今治世なれば、川中島の土蔵に入らるるなり」
徳川家康 徳川葵 徳川葵 「先に行くあとに残るも同じこと 連れて行けぬをわかれぞと思う」
徳川秀忠 徳川葵 徳川葵 「善人と交われば、善ならざるはなし。悪人と居れば悪ならざるはなし。」
本多忠勝 本多葵 本多葵 「死にともな まだ死にともな死にともな 御恩を受けし君を思えば」
「侍は首を取らずとも不手柄なりとも、
 事の難に臨みて退かず、
 主君と枕を並べて討死にを遂げ、
 忠節を守るを指して侍と言う曰ふ。」
柳生宗矩 柳生笠 柳生笠 「われ人に勝つ道を知らず われに勝つ道を知る」
「刀剣短くば一歩進めて長くすべし」
「兵法は、人をきるとばかりおもふは、ひがごと也。
 人をきるにはあらず、悪を殺す也。
 一人の悪をころして、万人を生かすはかりごと也。」
「目に見るるを見と言ひ 心に見るを観と言ふ」
関ヶ原の戦い(西軍)
人物 家紋 紋名 コメント
安国寺恵瓊 武田菱 武田菱 「清風払明月 明月払清風」
石田三成 大一大万大吉 大一大万大吉 「筑摩江や 芦間に灯す かがり火と ともに消えゆく 我が身なりけり」
「大義を思ふ者は、たとへ首をはねらるる期までも命を大切にして、何卒本意を達せんと思ふ」
「残紅葉 散り残る紅葉は ことにいとおしき
秋の名残は こればかりぞ」
宇喜多秀家 児 「み菩薩の 種を植えけん この寺へ みどりの松の 一あらぬ限りは」
「泪のみ流れて末はくいせ川 水の泡とは消えんとすらん」
上杉景勝 上杉笹 上杉笹 「迂をもって直とし、患をもって利とする事、平家用捨の大事なり」
大谷吉継 向かい蝶 向かい蝶 「契りあれば 六つの衢(ちまた)に 待てしばし 後れ先立つ ことはありとも」
「契りあれば 六つの衢(ちまた)に 待てしばし おくれ先立つ たがひありとも」
「金のみで人は動くにあらず」
九鬼嘉隆 左三巴 左三巴 「数百斥艘を木津浦へ追ひ上せ、見物の者ども、九鬼右馬充允(嘉隆)手柄なりと感ぜぬはなかりけり」
真田幸村 六文銭A 六文銭A 「定めなき浮世にて候へば、一日先は知らざる事に候」
「さだめなき浮き世にて候へば 一日さきは知らざることに候」
「さだめなき浮世に候へ者 一日先は知らざる事
我々事ばどは浮世にあるものとは おぼしめし候まじく候」
島津義久 轡(丸に十字) 轡(丸に十字) 「世の中の 米と水をと汲み尽くし 尽くして後は天津大空」
島津義弘 丸に十字 丸に十字 「春秋の紅葉はついに留まらず 人も虚しき関路なりけり」
長宗我部元親 七つ方喰 七つ方喰 「我こそは国の守りにたづか弓さのみなたてそ鳴門波風」
直江兼続 三盛亀甲花菱 三盛亀甲花菱 「銭は下賤の持ちあつかひ候ものなり」
「風花雪月不関情 邂逅相逢慰此生
 私語今宵別無事 共修河誓又山盟」
「二星何恨隔年逢 今夜連床散鬱胸
 私語未終先洒涙 合歓枕下五更鐘」
蜂須賀正勝 蜂須賀万字(丸に左万字) 蜂須賀万字(丸に左万字) 「遅かるべくして速やかなれば、すなはち大過なし。速やかなるべくして遅き時は、すなはち大過あり」
江戸(その他)
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上杉鷹山 上杉笹 上杉笹 「成せばなる成さねばならぬ何事も 成らぬは人の成さぬなりけり。」
忠臣蔵
人物 家紋 紋名 コメント
浅野内匠頭 丸に違い鷹の羽 丸に違い鷹の羽 「風誘う花よりもなお我はまた 春の名残をいかにとかせん」
大石内蔵助 右二つ巴 右二つ巴 「あら楽し思いは晴るる身は捨つる 浮世の月にかかる雲なし」
大石主税 右二つ巴 右二つ巴 「あふ時はかたりつくすと思へども 別れとなれば残る言の葉 」
幕末(幕閣・幕臣)
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井伊直弼 丸に橘 丸に橘 「世の中を よそに見つつも うもれ木の 埋もれておらむ 心なき身は」
勝海舟 丸に剣花菱 丸に剣花菱 「事、未だ成らず、小心翼々
 事、将に成らんとす、大胆不敵
 事、既に成る、油断大敵」
「世の中は、平穏無事ばかりではいけない。
 少しは不平とか不足とか騒ぐもののある方がよいよ。
 これも世間進歩の一助だ。」
「世間は活きている。理屈はしんでいる。」
「行蔵は我に存す。毀誉は他人の主張。」
幕末(薩長土肥)
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久坂玄瑞 隅立角に三木 隅立角に三木 「けふもまた知られぬ露の命もて千年を照らす月を見るかな」
坂本龍馬 組合角に桔梗 組合角に桔梗 「世に生を得るは事を為すにあり。」
「酒者可呑酒可飮 人生只有酒開膽 醉中快樂人無知
 大地爲蓐天爲衣 英雄生涯眞乎夢 厭迄呑酒醉美姫」
高杉晋作 丸に武田菱 丸に武田菱 「おもしろきこともなき世をおもしろく 」
「内憂外患迫吾州 正是危急存亡秋 唯爲邦君爲邦國 降彈名姓又何愁」
武市瑞山
(半平太)
丸に柿の花 丸に柿の花 「花依清香愛 人以仁義栄 幽囚何可耻 只有赤心明」
(花は清香に依って愛せられ、人は仁義を以って栄ゆ。幽囚、何ぞ恥ずべき、只赤心の明らかなるあり。)
山内容堂 丸に土佐柏 丸に土佐柏 「風捲妖雲日欲斜 多難関意不思家 誰知此裏有余裕 立馬郊原看菜花」
(風は妖雲を捲いて日斜めならんと欲す。多難意に關して家を思わず、誰か知らん此の裏餘裕有るを馬を郊原に立てて菜花を見る)
吉田松陰 瓜に角立五割万字 瓜に角立五割万字 「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂」
「かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」
「親思う心にまさる親心 けふのおとずれ何ときくらん」
「妄りに人の師となるべからず 又妄りに人を師とすべからず」
「我今為国死 死不背君親 悠々天地事 鑑照在明神」
「磯原客舎
 海樓把酒対長風 顔紅耳熱酔眠濃 忽見萬里雲涛外 巨亀蔽海来艨艟
 我提吾軍来陣比 貔貅百萬髪上衝 夢断酒解灯亦滅 涛声撼枕夜鼕鼕」
新選組
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沖田総司 丸に木瓜 丸に木瓜 「動かねば 闇にへだつや 花と水」
近藤勇 丸に三つ引 丸に三つ引 「孤軍援絶作囚俘 顧念君恩涙更流 一片丹衷能殉節 雎陽千古是吾儔
 靡他今日復何言 取義捨生吾所尊 快受電光三尺剣 只将一死報君恩」
(孤軍たすけ絶えて俘囚となる。顧みて君恩を思えば涙さらに流る。一片の丹衷よく節に殉ず。雎陽千古これ吾がともがしら。他になびき今日また何をか言わん。義を取り生を捨つるは吾が尊ぶ所。快く受けん電光三尺の剣。只まさに一死をもって君恩に報いん。)
「丈夫立志出関東 宿願無成不復還 報国尽忠三尺剣 十年磨而在腰間」
(丈夫志を立てて東関を出づ宿願成す無くんば 復び還らず報国尽忠三尺の剣十年磨いて腰間に在り)
「負恩守義皇州士 一志伝手入洛陽 昼夜兵談作何事 攘夷誰斗布衣郎」
(恩を負うて義を守る皇州の士 一志を伝えんか洛陽に入る 昼夜の兵談何事をなさん 攘夷誰と斗らん布衣の郎)
「事あらばわれも都の村人と なりてやすめん皇御心」
土方歳三 左三巴 左三巴 「たとひ身は蝦夷の島根に朽ちるとも 魂は東の君やまもらむ」
「よしや身は蝦夷が島辺に朽ちぬとも 魂は東の君やまもらむ」
豊玉発句集(ページ下)
山南敬助 丸に立葵 丸に立葵 「牢落天涯志不空 盡忠今有一刀中 何妨萬里険艱路 早向皇州好奏功」
(牢落、天涯、志空しからず、盡忠、いま一刀の中にあり。何ぞ妨げん、万里険艱の路 早、皇州に向いて、好き功を奏さん)
幕末(その他)
人物 家紋 紋名 コメント
山岡鉄舟 丸に桔梗 丸に桔梗 「腹痛や苦しきなかに明けがらす」
安島帯刀 丸に立ち梶の葉 丸に立ち梶の葉 「今更に 何をか言はん 言はずとも 我が真心は しる人ぞしる」
「国を想ひ 世を歎きての 真心は 天にも地にも あに恥ぢめやは」
「しひて吹く 嵐の風の はげしさに 何たまるべき 草の上の露」
「武蔵野の 露とはかなく 消えぬとも 世にかたりつぐ 人もこそあれ」
「玉の緒の たゆともよしや 君々の かげの守りと ならんと思へば」
「草に置く 露の情けも あるものを いかにはげしく 誘ふ嵐ぞ」
「無き人の その言の葉も 繰りかへし 見る我さへも 袖ぬらすかな」
佐久間象山 丸に三つ引 丸に三つ引 「人われを誉むれども一糸を加へず。
人われを毀れども一毫を減ぜず。」
「予、年二十以後、すなわち匹夫にして一国に繋がるあるを知り、 三十以後、すなわち天下に繋がるあるを知り、
四十以後、すなわち五世界に繋がるあるを知る。」
その他(上記以外)
人物 家紋 紋名 コメント
平清盛 丸に蝶 丸に蝶 「ただしおもひをく事とては、伊豆国の流人、前兵衛佐頼朝が頚を
見ざりつるこそやすからね。
われいかにもなりなん後は、堂塔をもたて、孝養をもすべからず。
やがて打手をつかはし、頼朝が首をはねて、
わがはかのまへにかくべし。」
楠木正成 菊水 菊水 「遊びも度重なれば楽しみならず。 珍膳も毎日食らえばうまからず。」
「合戦の勝負、必ずしも大勢小勢に依らず、
只士卒の志を一にするとせざるとなり。」
楠木正行 菊水 菊水 「かへらじとかねて思へば梓弓 なき数にいる名をぞとどむる」
東郷平八郎 蔦 「皇国の興廃、この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」
「至誠にもとる事なかりしか。言行に恥ずる事なかりしか。気力に欠くる事なかりしか。努力に足らぬ事なかりしか。無精に過ぎる事なかりしか。」
「愚直と笑わるるとも、終局の勝利は必ず誠実な者に帰すべし。」
柳生石舟斎 柳生笠 柳生笠 「斬りむすぶ刀の下こそ地獄なれ 身を捨ててこそ 浮かぶせもあれ」
豊玉発句集
さしむかふ 心は清き 水鏡
裏表なきは君子の扇かな
水音に添てききけり川千鳥
手のひらを硯にやせん春の山
白牡丹月夜月夜に染めてほし
願う事あるかもしらす火取虫
露のふる先にのほるや稲の花
おもしろき夜着の列や今朝の雪
菜の花のすたれに登る朝日かな
しれば迷ひしなければ迷はぬ恋の道
しれば迷ひしらねば迷ふ法の道
人の世のものとは見へぬ桜の花
我年も花に咲れて尚古し
年々に折られて梅のすかた哉
朧ともいはて春立つ年の内
春の草五色までは覚えけり
朝茶呑てそちこちすれば霞けり
春の夜はむつかしからぬ噺かな
三日月の水の底照る春の雨
水の北山の南や春の月
横に行足跡はなし朝の雪
山門を見こして見ゆる春の月
大切な雪は解けけり松の庭
二三輪はつ花たけはとりはやす
玉川に鮎つり来るやひかんかな
春雨や客を返して客に行
来た人にもらひあくひや春の雨
咲ふりに寒けは見へず梅の花
朝雪の盛りを知しらず伝馬町
岡に居て呑むのも今日の花見哉
梅の花壱輪咲ても梅はうめ
(井伊公君)ふりなからきゆる雪あり上巳こそ
年礼に出て行空やとんひたこ
春ははるきのふの雪も今日は解
公用に出て行みちや春の月
あはら屋に寝て居てさむし春の月
暖かなかき根のそはやいかとほり
今日も今日もたこのうなりや夕けせん
うくひすやはたきの音もつひやめる
武蔵野やつよふ出て来る花見酒
梅の花咲るしたけにさいてちる
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